(1)平成20年度の調布市の予算について
1)評価できる点
福祉、医療、税制など、国の制度改悪による住民の負担増が続く中で、20年度の予算案は、子育て支援など多くの点で、市民の要望にこたえるものであり、市民の暮らしを守るために地方自治体として努力しているものと評価している。
- 保育園の待機児解消策として、認可保育園2園の新設を中心とした定員枠拡大。
- 学童クラブの1学校1学童の整備及び過大学童の解消に向けての、20年度は6施設の建設・準備を実施し、長年の願いである1学校1学童が実現。
- 後期高齢者医療制度については、制度実施による保険料・健診など市民の負担増を防ぐための市としての努力を評価。また、健診事業は、国の削減分を市が補いさらに拡充した。
- 虐待防止センターの充実や、家庭で子育てする親子の居場所となっている児童館の子育て広場の拡充など、きめ細かな子育て支援策を展開。
- 子どもの発達のつまずきを早期発見早期療育につなげ、全ての子どもの全面発達を保障しようという考えのもと、子ども発達センターを建設。
- 学校施設、8校の耐震補強工事、調布中の体育館改築など、老朽化施設の改修、改築に前年度を上回る予算を配分。
- 緑ヶ丘小でのユーフォー開設。
- スクールサポーターの配置時間の拡充。
- 旧大町小跡地に、小学校児童適応指導教室及び、7中相談学級の施設整備を進めること。
- 環境、学校教育、産業振興にかかわる問題として、学校の生ゴミ処理機で生ゴミを堆肥化するとりくみと農家との連携が、部分的ではあるが、実現に向けて前進。
- 第3次高齢者総合計画では、20年を目標に計画した施設整備が、整備されず基盤整備が大幅に遅れているが、市として、公有地の活用や建設費補助などの支援策を検討するとの答弁があった。
2)問題点
- 「土地開発公社会計の健全化」と称する起債の一般会計への付け替えがおこなわれた。あと3年で買戻しが終わるものをわざわざ借金をして、一般会計に付け替えたことにより、約7000万円もの利子を余計に払う事態もありうることが明らかになった。「公社会計健全化」の名で、借金を増やすことが市民の理解をえられるとは思えない。
- 企業立地等促進事業費について、調布市民の雇用とは無関係に、助成金が出る制度であり、雇用促進という制度のタテマエから見ても、矛盾していることが明らかになった。制度の抜本的見直し、廃止を求める。
- 全国一斉学力テスト、東京都教育委員会の学力テスト、調布市独自の学力テストについて、学校の序列化につながり、ただでさえ不足している授業時数をムダに費やすものであり、やめることを要求。
- 中心市街地のまちづくりや都市計画道路について、いくつもの事業がほぼ同時期に行われようとしている。これらの事業の進捗状況によっては、財政負担が過大になるおそれがある。まちづくりについては、住民合意で進めることともに、財政のバランスを考慮して慎重にとりくむべきである。
- 施設管理公社の法人化は検討が不十分、定款も示すことなく出資金だけを予算化することなど論外。
- 市長の海外視察は中止を。公金不適正処理問題による減給処分期間中であることをわきまえるべき。
予算案は原案通り、賛成多数で可決。
(2)国民健康保険税の賦課方式の変更について
国民健康保険制度の賦課方式(保険税の計算方法)を従来の市民税所得割方式から旧ただし書き方式への変更が提案された。
現行の賦課方式との違いは、各種の控除がなくなり、低所得者から所得割がかかるようになるために、家族が多く、所得の少ない世帯ほど増税になる。逆に、単身世帯や高額所得者は減税になる。
- 日本共産党は本会議で質疑を行い、国民健康保険賦課徴収条例の13条の減免規定の拡充を要求。「セーフティーネットとして重要であり検討する」との答弁。
- 日本共産党は、低所得者の大幅な負担増をまねくものとして反対したが、賛成多数で可決。
(3)後期高齢者医療制度について
- 議案上程時の質疑で、「市独自の減免を検討するべき」と要求、「収納状況を見ながら検討する」との答弁。健診事業は、国の削減分を市が補いさらに拡充した。
- 葬祭費を市が負担(保険事業にせず)、健診事業については、市民負担を市が肩代わりして無料の健診を継続するなど、市民に負担を抑制しるための市の努力は評価できるもの。
- 日本共産党は、制度そのものに反対する立場から、条例案には反対。後期高齢者医療特別会計案については、負担軽減など、市独自の対策が含まれているので賛成。
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